エアームドGET話...5話 

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ユキナはジュプトルをボールに戻し、小さなエアームドと共に仲間たちのところへ戻った。
そこではソウとクスイが待っていた。

「どうなったの!?」

クスイが答える。

「勝負は…エアームドが勝った。あいつら、風魔団は、走って逃げていったよ」

その言葉を聞いてほっと安心するユキナ。
だが、どこにもエアームドの姿は見えない。
不審に思い聞いてみる。

「で、エアームドはどこに行ったの?」

この質問に、少年二人は少しうつむく。
なかなか答えてはくれない。
先に顔を上げたクスイがは、あるひとつの岩を指差して、静かに言った。

「あの岩の…後ろだよ」

どうして、そんなに辛そうに言うのだろうか。
エアームドが勝ったのに。
どうして。
ユキナの安堵感はすでに不安に変わっていた。
小さなエアームドを連れて、その母のいる場所へと歩き出す。
この岩の後ろに…

「…そんな…!!」

「きゅ…きゅうきゅうーーーー!!!!」

そこにいたのは、確かに、エアームドであった。
しかし、
鋼の身体は傷つき、
地面にぐったりと倒れ、
まぶたを閉じ、
ピクリとも動かなかった。
もう動かない。
この鳥が大空に羽ばたくことは、もう二度と、無い。

「きゅう!きゅう!きゅう!」

眠ったような自分の母親に必死で呼び掛ける、子の姿があった。
だが、母親は目を覚まさない。
何も反応が返ってこない。
それでもなお、エアームドは小さな体で周りを飛び回り、叫び、呼び掛け続ける。
小さな子は、『死』を知らなかった。

「あのエアームド…子供がいたのか…」

「ヒック…キモリを連れて行ったのだって、大事な子供のためだったの…うゥ…」

ユキナは涙が止まらなかった。
鳴き続ける子エアームドの声を聴く度、涙が溢れてどうしようもなかった。

「僕は、風魔団が一人いなくなったのに気付いて、そいつを探してたんだ。
そしたら、ソウ君に会って…」
「お前に言われたとおり俺達はエアームドを助けようと、元の場所に戻った。
俺らが着いたそのとき、大きな音がして…勝負が決まったみたいだった」

ネイティオは地面に倒れ、風魔団の青年は慌てて逃げ出した。
エアームドも、それを見届けた後、長い闘いに疲れ果て、地面にそのまま墜落してしまった。
傷も深い。
クスイもソウも、かばんの中からありったけの傷薬を取り出し、エアームドに使った。
だが回復することはなかった。
もう、ある線を、通り越してしまっていたのだ。
二人の少年は、成す術もなく、エアームドが目を閉じていくのをただただ見ているしかなかった。

動かない鋼の体には、徐々に灰が降り積もっていく。
ユキナはそれが許せなかった。

「お墓、作ろうね…」

灰をほろうために、恐る恐る、身体に触れた。
冷たい…
それは、鋼の体のせいではなくて。
もう、生きていないという証拠であり。
ふたたび涙が止まらなくなったユキナは、今だ泣き叫び続ける小さな子を、手に取り、抱き締める。

「あなたは、こんなに、あったかいのにね…」
「きゅう…きゅう…」

ユキナは涙を拭い取り、意を決したような表情で、母親エアームドを見る。
そして告げた。

「あなたの大事なお子さんは、私が預かります。きっときっと大事に育てます。
強く、どんなヤツにも負けないくらい、強く育てます。
だから、だから、
安心して…眠ってください…」

「きゅう…」

もう一度、小さな体を抱き締めた。
永遠の眠りについたはずのエアームドが、少し、微笑んだ気がした。


3人は、ハジツゲタウンのポケモンセンターで一晩泊まった。
その夜は、三人とも口数が少なめだった。
そして、次の朝。

「じゃあ、僕は行くね」

クスイは眼鏡をかけ直しながら言った。

「クスイさん、いろいろありがとうございました。結局迷惑ばかりかけて…ゴメンナサイ」
「迷惑だなんて思ってない…そう言ったはずだけど?」
「なあクスイ、あの風魔団って、何者だったんだ…?」
「…飛行系のポケモンを捕獲し、それを使って何か企んでるみたいだね。
何にせよ、君達は顔を覚えられてしまった。気をつけたほうがいい」

ユキナの顔に怒りが見えた。

「風魔団…絶対に許さない!」

それを聞いたクスイは、にっこりと優しく微笑み、ユキナの肩に触れた。

「ユキナさん。焦らないで。あなたは必ず強くなれる。僕が保障するよ」
「あ、ありがとう…」

最初は申し訳なさそうな表情をしてたのに、怒りに奮え、今は照れ隠しに必死だ。
くるくる表情を変えるこの少女を、クスイはもう少し見ていたいと思った。
だが、クスイにもやらなければならないことがある。

「またどこかで会おう。僕は、あなたにまた会いたいから」

そう言ってクスイは背を向け出入口に向かって行った。
途中、足を止め、後ろを振り返る。

「ソウ君、ユキナさんに負けないように、頑張ってね」

クスッ、と笑い、ふたたび歩き出した。

「ちえ。付け足しみたいに言いやがって。俺だって強くなるからな!」
「クスイさん…さようなら」

クスイは外へ歩き出した。
二人はしばらくその行方を見守っていた。


「ユキナ」

ソウはユキナの頭をポンっと叩いた。

「気を取り直して行こうぜ。お前の、新しい仲間と。」


その日ふたりは、ユキナの提案で、一日かけて火山灰を必死に集めた。
そして、ガラス細工のお店へ持って行き、それぞれ好きな色のビードロを作ってもらった。
ユキナはそっとビードロを吹いてみる。
それは、とても暖かい、優しい音色で。
この音が、あのエアームドに届けばいいと思った。

今は土の中で眠る、この子のお母さん。
私たちは、必ずこの地に戻ってきます。
どうか、見守っていてください。

「きゅう!きゅう!」

初めて見るビードロに興味津々なエアームドは、ユキナの周りをパタパタ飛んだ。
ユキナはふふっと笑って、今度はその新しい仲間のために、ビードロを吹いた。
その音色は、やはり、暖かかった。


めい様より挿絵



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あとがきと補足
前5話、遂に完結しました。暖かい応援があってこそです。みなさんありがとうございました。
自分でもなかなかイイ話になったかな、と自負しております。ビードロ出せて良かったv

でもっていろいろ補足が必要っぽいので補足をば。

・エアームドはユキナにとって、初ゲットのポケモンです。キモリしか持ってませんでした(笑)
・クスイさんは何者なんでしょうか。恐らくバレバレだと思いますが、一応「謎」ということにしておきます。
・風魔団がエアームドを狙っていた理由としては、やはりとても強かったからです。何故、子どもまで?と疑問に思うかもしれませんが、
子ムドはまだレベルが低いというのに、はがねのつばさを使えるのです。たぶん父親ゆずりの技でしょうね。
つまり、将来有望ということで狙われていたということです。

他、何か疑問点がございましたら、お気軽に聞いてください。補足に付け加えます。
次からは、ソウの過去のお話になります。ソウの兄カイが出ます。ソウが旅立った理由を書けるよう頑張ります。
読んでくださってありがとうございました。



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